お金のニオイ
少しばかりこれまでの勢いを失っている感のある気候変動対策。EVの初期の市場形成と、その反動による減速がいずれも急でしたからね。
長期的には必ず必要になる対応なのですが、目の前の競争には優先させられないということでしょうか。
自動車産業の脱炭素化 | 34兆円 |
再生可能エネルギーの導入拡大 | 20兆円 |
住宅やビルの省エネ | 14兆円 |
デジタル投資 | 12兆円 |
次世代送電網の強化 | 11兆円 |
水素・アンモニア供給網 | 7兆円 |
蓄電池製造 | 7兆円 |
・・・ | |
今後10年間の官民投資総額(上記以外含む) | 150兆円 |
気候変動対応に関して「10年間で150兆円が動く」的な話を聞いた方もいるでしょう。この数字について考えてみます。
表は、週刊エコノミストオンラインが150兆円の内訳を整理されたもの。さまざまな分野で環境関連の投資が進むと考えられています。150兆円がどこからか湧いてくるのではなく、世界的な気候変動対応の必要性によってこれくらいの投資が発生する、というものです。
国が直接支出するのはこのうちの20兆円。その財源はGX移行債という形で集められます。水素置換の差額補填や高効率の機器購入補助などが用途として上がっています。
残り130兆円(年間13兆円)はどうでしょう。近年の民間設備投資総額は毎年90兆円程度、13兆円は14%となります。
新たな分野への成長投資として増加する部分と、衰退していく分野に充てていた投資が減る分を考慮すると、どうでしょう10%くらいですかね。
民間企業の視点だと、投資を10%増加させる分に相当する増リターンが期待できるかがカギですね。しかも毎年?
そう考えると、13兆円は毎年の投資の中で相殺されていく(今までの投資先が気候変動対応に置き換わる)という見方も。
増リターンが期待できなくても、投資せざるを得ない環境(対応しないと規制で売れないとか、非対応商品には高関税とか)に追い込まれて・・というシナリオもあるのかもしれません。カーボンプライシングの導入によって先行企業に付くインセンティブなんかも、結果的にはリターンとして投資を後押しするのでしょう(単純増ではないけど、やらない時よりは増加する)。
読みが難しいところですが、コンサルとしてお金のニオイを追っかけなければ。