疑え!

本日の日経新聞に、「産学連携で自動化のコストを大幅に下げる取り組み」が紹介されていました。併せて「中小企業の生産性は大企業より低い。23年版の中小企業白書によれば、製品やサービスが持っている価値にどれほど新たな価値を加えたかを示す従業員1人あたりの付加価値は、製造業で中小企業が542万円と大企業(1460万円)の3分の1程度にとどまる。」という記事もありました。モーサテでもやってましたね。

この話の主題である、「産学連携での自動化」の話は(ねらいとしては)良い内容だと思います。今回はそちらではなく、「思い込み」について。

労働生産性の定義は、「付加価値額/労働投入量(従業員数x労働時間)」となりますが、白書では分母を従業員数として1人あたり・・で記載されています。
ちなみに付加価値額については、「営業純益(営業利益-⽀払利息等)+給与(役員分や賞与も)+福利厚⽣費 +⽀払利息等+動産・不動産賃借料+租税公課」という日銀方式です。(中小企業庁の白書ですが、中小企業庁方式は使っていないのが面白い)

本題に戻って、自動化を主題にした記事とこのデータを鵜呑みにすれば、「大企業は自動化が進んで効率が上がったんだな」と思われるのが当然でしょう。
疑い深い性格なので、本当かなと思って少し調べてみました。(図は中小企業白書2023より)

差があること自体は間違いないのですが、大企業の変動は大きいものの2003年からその差は大きくは変わっていません。
2003年時点で、既に大企業は自動化が進んでいたということでしょうか。製造業だけではなく、非製造業でも傾向が同じことから考えると、そんなことはないですよね。

この差は何に起因するのでしょうか、私は分子側だと思っています。大企業ほど、相対的に最終顧客への価値提供が多かったり、価格転嫁力が強かったりしていることじゃないのかな。
分母に関して言えば、中小の方が兼務だったりスラックが少ないとか、賃金も相対的に低いとか、あまり差が開かない印象です。
それと経験的には自動化で即労務費が圧縮できるかというと、そんなに極端な効果もない気もしますし。

いずれにせよ、「すべてを疑え!」ですね。

あー、2007や2020の変化の理由が探ってみたいけど、今は営業に専念せねば・・。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA