外挿

まずはこちらの記事。NECからのリリースです。

「NECは、地雷による犠牲者を一刻も早く減らすとともに、安全・迅速・効率的な除去作業に貢献するため、AIを活用し地雷埋設エリアを予測する実証実験を行いました。実証の結果、実際に埋設されていた位置との合致率が約90%と高精度に予測できることを確認しました。本実証は、2021年6月に開始した赤十字国際委員会(ICRC)との共創プロジェクトの一環として行ったものです。」

赤の丸っぽい塗りが予測エリア、実際の埋設は緑で示された地点だそうです。(赤線は計算した範囲)

すばらしい。苦労されている方々の役にも立つし、国際貢献にもなる。応援したいです。

気になったのはAIの話。機械学習、基本的には「内挿しか使えない」という理解です。AIと書けばなんでもできるみたいな雰囲気になりつつありますが、「外挿」は苦手とされています。
予測に使われる場合は、機械学習となんらかの理屈や法則に基づくシミュレーションを組み合わせた形になっているのだと思います。

人間が時間を掛ければできること(あくまで理論上で、現実にはできない長さの時間がかかる)が、短時間でできるのが機械学習。
人間と同じで、学習させた範囲の中で答を出すとそれなりに当たるけど、範囲外を推測させると(その計算の単なる延長線上になってしまうだけで)条件によっては誤差が大きくなる、という理解かな。

地雷の場合を考えてみました。
埋設に関係しそうな要素、例えば当時の幹線道路地図とか、森の中の抜け道地図(木々の密集度)とか、重要施設(を結ぶ通路)みたいなパラメータは学習できるでしょう。
でもそれならやはり外挿は難しいし、AIまで要らんかな。
埋設場所に関して、法則や特徴があって・・みたいなのも想像し難い。

実際に地雷が埋められていた場所のデータは、過去の地雷除去活動や実際の爆発で得られているでしょうから、地図情報など物理的なパラメータもぶっ込んで、なんらかの特徴を得たのかな。
特定の範囲固有の情報に基づいて学習されて、その中で内挿している。つまり、この地域特有の地理的条件や、この地域に地雷を埋めた組織の埋設パターンも含めた推計ができた・・・みたいな話ですかね。

いずれにせよ、実際に地雷がどこにあるかというデータは、これまでの調査や(悲しいことに)人が巻き込まれた爆発などで得られているでしょうから、今回のプログラムは地域地域で応用が効くのかも。
世界での活躍に期待したいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA