TMSUK

テムザック高本さんの講演を拝聴しました。こんな素晴らしい話がタダで聴けるとは、AGIに感謝。

同社は独特なロボットベンチャーとして有名です。産業用ロボットと民生のコミュニケーションロボットなどとの間に位置するワークロイドを開発しています。一言で言えば、これから人手不足となる労働の代替を行うロボットです。

事例として、米作の一貫自動化・天井施工ロボットなどが紹介されました。変わったところでは歯科患者型や小児患者型ロボットもありました。人が手術時に起こす各種の反応(ショックや暴れなどまで)を再現できるようで、海外からの引き合いも多いようです。
ロボット間の通信による群制御が得意とのこと。集中制御ではなく、ロボット群として自律制御されるようなアーキテクチャなのかなと思います。(頭脳分散型なので、軍事応用とかでも伸びそうですね。)

きづきをいくつか。

いろいろな機能を盛り込んだロボットは巨大化してしまうのですが、群として機能を発揮するので、こなれています。
個別の機能を持ったロボットが、例えば目・手・足それぞれの仕事をしていくイメージです。
なるほど、うまくやれば個々のロボットもある程度共通化できて、しかも全体としては小型になりますね。

米作では、種まき・水管理・雑草抑制・害虫駆除・収穫・米粉への加工まで、それぞれで自動機やロボットを実装されていました。
とにかく開発思想に自由度がある。雑草抑制はアイガモを真似た自動機が動き回り、害虫駆除はセンサと高圧水銃が組み合わさったりと、すごい技術者の夏休みの宿題はこんなんだろうなと(失礼)。どこか「魔改造」にも通じる感じ。

一番のきづきは田植えです。実際には「田植え」をしていません。ドローンで「種まき」をしています。
田植えを自動化しようとすると、耕す・畝を作る・苗を1株ずつ差し込む・・みたいな作業を自動化しがちですが、それではロボットも大型化・複雑化もしくは多機種になってしまい、収益が成り立たないということで、自分たちの持つ技術の延長線上で自動化を考えられています。(まだ1年ですが、収穫は自動化前並みとなったそうです。)
ハードだけではなくソフトでも同様ですが、「人の作業そのままの置き換えではなく、機械を使う前提での最適なシステムを選択すべし」という本質的な部分を、あらためて認識した気がします。
ちなみに種は鉄コーティングしたものだそうで、水田でうまく接地するような工夫もされています。海外では日本のような田植えはあまりないでしょうから、そこから知見を持ってきたのかもしれません。

あと、知財のロイヤリティでビジネスを伸ばしていく方向だとのこと。
しかしながら、世の中にないものを要望される点と、なんといっても作ることが好きそうな人の集まりでしょうから、おそらく試作品開発が減らせず、利益拡大が難しいかもしれませんが、応援したい企業です。

実はテムザックは北九州にゆかりのある会社です。木町に高本氏の祖父の企業がある(あった?)そうです。数年前は本社も宗像でしたね。
今はモビリティに注力されているようでした。期待してます。

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