診断士試験を思い出す
29日の石破さんの所信表明演説から。
「コストカットではなく付加価値の創出に力点を置いた経営・経済への転換」という一説がありました。(直接聴いてませんからね、「あったそうです」が正しいかも)
売上 - 製造原価(もしくは仕入費用) - 販売費および一般管理費 = 営業利益
利益を増やすには、売上を上げるか費用を下げるか。特に中小製造業は、これまで費用を下げる努力を続けてきたと思います。
でも、原材料や光熱費も上昇、人件費も大幅上昇の中、転嫁も十分できず一杯一杯。
そこで「付加価値の創出」「コストカットからの転換」となったのでしょう。
まあなんとなく伝わるのかな。前者は「高く売れ」、後者は「安く作れ」ですかね。
「高く売れ」とはどういうことか?我々消費者に「高く買え」ってことかな?
中小企業診断士としては、解説したいところですね。
数少ないこのブログの読者の皆さんは経営に通じた方々でしょうから、不要な解説かもしれませんが、頭の整理を兼ねて。
まずは「付加価値」の定義から。
「付加価値 = 経常利益+人件費+賃借料+減価償却費+金融費用+租税公課」(日銀方式:加算法)とされています。
これだと分からんよね。付加価値創出するなら、たくさん利益出してたくさん経費使ってたくさん税金収めてね・・みたいな。
日銀方式は数字上は正確になりますが、付加価値を創出できた結果からの算出なので、何をがんばればよいか分かりません。
もう一つ、簡易的な計算式として、
「付加価値 = 売上 - 外部購入費用」(中小企業庁方式:控除法)があります。
外から買ったモノの代金(原材料とか外注加工費とか)を引くということですな。
簡単だけど、付加価値上げるにはやっぱりコスト削減したらいいんじゃない?という発想になっちゃいそうです。
式の上では結局、付加価値上げるにはどうしたらいいのか(プロセスとしてのKPIは何か?)は見つけられませんでした。
直感的には、従来のプロセスの延長(費用をかければ比例して売上が伸びる)ではなく、同じ開発・製造プロセス(費用)なのに、高く買ってもらえるモノやサービスを産み出すことでしょうか。
既存の製品の周辺価値に注力しているだけだと、これは難しいですよね。
いままでにない取組みをしなければならないことが必要です。
よくある取組みパターンは、ハードの研究開発からソフトにシフト・(高利益な)新規事業の立上げ(M&Aとか)・技術基盤が共通した市場への多角化とかかなと思ったりします。
多分に経営の課題やね。弊社の出番も増えるかも。
余談ですが、久しぶりに式書いてたら、2022年度の2次試験を思い出しました。
事例Ⅳの第1問。経営指標を問われる問題。稼げる設問のはずなのに、それまで出てなかった「生産性」を問われてびっくり!
ちょっと慌てつつも、労働生産性(=付加価値 ÷ 従業員数)で若干ごまかし気味に回答して乗り切った覚えがあります。
設問には「計算においては「販売費及び一般管理費」の「その他」は含めない」とわざわざ書かれていたので、付加価値計算と気づくヒントにはなったかもしれません。
中小企業診断士試験なのに、中小企業庁方式じゃなく日銀方式ですな。
余談ついでに、付加価値を使う式をもうひとつ。
労働分配率 = 人件費 /付加価値 × 100
儲けのうち、どれだけを給与に回せているかということですね。
相対的に日本は低い。弊社は高いですよ。(付加価値が低いだけ?)