生存戦略

大阪大学と独ハイデルベルク大学が水中の有害物質を捉える高分子材料を開発、という話。

植物が吸水する際に有害物質をトラップするのは知られていました。
研究により、細胞中の蛋白質「ファイトケラチン」が水中の重金属イオンだけに結合し、液胞に閉じ込めるということが判明。
今回はその現象を解析して、化学構造を設計したとのこと。CdイオンやHgイオンに選択的に結合するような設計ができたそうです。
しかも除去能力は植物の1000倍?(単位が分かりませんでしたが・・)
これまでの物理的もしくは電気的トラップだと、他のイオンも止めてしまいますからね。重金属だけっていうのがすばらしい。

それはさておき、そもそもなんで植物が重金属をトラップするのよ?
生存に悪影響があるなら蓄積しない方がいいだろうし、栄養にも使ってないってことだし・・・。
と思って調べてみました。

国立環境研究所がコロラド州立大学のピロン・スミス研究室にて研究した話。これがまた面白い!

もともとの仮説は、「こういったハイパーアキュムレーター植物は、有害物質を貯め込むことで捕食を回避する」ということだったそうです。(私の理論では、多くの変異種の中でこの機能を持った種だけが生き残ってきた、となります)
その検証実験で、いったんこの説は否定されかかるのですが、最終的には「有害物質のない環境下では別の防御蛋白質を生成することが分かっており、一方、有害物質がある場合はその有害物質を取り込んで使う方が、防御蛋白質を作らずに済み、エネルギーを成長に使えるため」と判明したようです。
防御コストと生育コストの比較論になっているところが興味深い。ほんと自然界は不思議。

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