Agile
M&A関連の講演を聞かせていただく中でちょっと気づいたので。
Aglie(アジャイル)は開発手法のひとつ。DRステップを後戻り不可で順に踏んで確実に仕上げるWaterfall手法の対極に位置付けられることもあります。(私は対極とまでは思っていませんが)
Waterfallは品質管理の王道です。過去の事例を踏まえながらの良い設計・多くの知見による客観的な意見交換とレビュー・3現主義に基づく観察、などを柱としながら伝統的製造業で取り組まれてきたと思います。品質が最優先という考え方です。
Agileはソフト開発で用いられ始め、今ではハードの開発でもさまざまな活用が進んでいます。全体工程を機能ごとの短サイクルで分割し、スプリントと呼ばれる設計〜実装テストまでを繰り返しながら品質を固めていく手法で、多くのスプリントが並行で走っていくこともあります。
Agileでは、要求仕様は最初はかっちりさせず、テスト結果や顧客の反応で計画を見直して軌道修正することが当たり前であり、その意味ではWaterfallと全く違うということにはなります。どちらかといえば、事業機会の逸失を防ぐことに重きが置かれます。
前置きが長くなりましたが、Agileが出てきた背景のひとつに、もともと成長の早いデジタル分野だったため、技術の進化や顧客のニーズの変化、競合の状況などが開発途中で変わってしまうという課題があったのだと思います。
要求仕様をじっくり定めて、多くのメンバーの合意の下で、仕様設定・設計・試作検証・工程設計・量産を前段階で決めた通りに進めていく、という従来の方法は適用できなかったということです。まだ前置きでしたね。
M&Aの世界でも、いわゆるデューデリジェンスをしっかりやるまでは、その企業の価値判断にリスクがあり、ましてや非公開の中小企業が対象だと、途中で何が出てくるか分からないそうです。(項目の想定はできるが、大きさが分からない。)
結果的に、計画はざっくり立てて、やれる部分から回して見直しを入れていく、そのサイクルとスピードを上げる、というのが現実といったような話を聴いたので、なるほど不透明下での対応は開発と同じだな、と思ったのでした。
製造業だけでなく、世間のさまざまな業種に工業的な知見は活かせるはず!と妄想だけ膨らんでおります。カミさんの冷たい視線を背にしつつ。